マーケティング·2026-10-17

LINEクーポンで再来店を促す|自動車ディーラーの通常・抽選クーポン使い分け戦略

LINEクーポンの作成画面。通常クーポンと抽選クーポンを切り替え、割引内容や有効期限を入力しながらプレビューを確認するRibbonの画面
クーポン作成。通常クーポンと抽選クーポンを切り替え、クーポン名、割引内容、説明、利用ガイド、画像、有効期限を入力すると、右側に LINE で表示されるカードのプレビューが出ます

この記事の要点

  • LINE クーポンの価値は割引の大きさではなく、普段つながっている顧客に、いま来店する理由を渡せることにあります
  • 通常クーポンは着実な後押し、抽選クーポンは関心と話題づくりです。既存客の入庫を逃したくないなら、まず通常を丁寧に組みます
  • 全員に同じ値引きは景品に当たりませんが、抽選で当たる割引や物品は一般懸賞、来店者全員への物品は総付景品として上限があります。協議会の会員は自動車業の公正競争規約にも従います
  • 全員一律の配信は嫌われがちです。タグや条件で対象を絞り、車検、点検、季節、決算の節目に合わせて送ります
  • LINE 上の操作と店頭の来店は別に数えます。来店時に活動履歴へ記録する運用を足して初めて効果が見えます

この記事で分かること

  • 通常クーポンと抽選クーポンの使い分けの判断基準
  • 景品表示法と自動車業の公正競争規約で、値引きと景品の線引きと上限をどう確かめるか
  • 有効期限、対象、送るタイミングをどう決めれば再来店につながるか
  • LINE 上の件数と店頭の来店記録を組み合わせた効果測定の組み方

対象読者:自動車ディーラーのマーケティング担当、店長、サービスフロント責任者|読了目安:約9分

目次

クーポンが空回りする2つの理由

クーポンを配ったのに来店が増えない、という詰まり方には 2 つの原因があります。1 つは、そのクーポンが顧客にとって来店の理由になっていないこと。もう 1 つは、使われたかどうかを店が把握できていないことです。配ること自体は誰でもできます。難しいのはその先です。

車の顧客は、数年に 1 度しか大きく動きません。日常的に店を思い出す必然がないので、期限のある特典が「今週末、ついでに寄ろう」のきっかけになります。クーポンは安くするための道具に見えて、本当は来てもらう理由を作る道具です。

配信の件数とクリックの件数は報告されるのに、そこから何件が来店したかは誰も答えられない、という場面は少なくありません。送って勝手に来店されるメッセージは存在しません。クーポンは配る機能であって、成果を約束する機能ではありません。効いてくるのは、送る相手、送るタイミング、特典の中身の組み合わせです。

この記事では、Ribbon(リボン)の LINE クーポン機能を題材に、配って終わりにしないクーポンの組み立て方を整理します。Ribbon は自動車ディーラー向けの統合管理 SaaS で、顧客管理から商談、整備、車検、LINE 公式アカウント連携までを 1 つにまとめています。

通常クーポンと抽選クーポンの使い分け

使い分けの軸は 1 つです。着実に後押ししたいのか、関心を広げて話題を作りたいのか。

通常クーポン 抽選クーポン
仕組み 対象者全員に同じ特典 当たり外れがあり、当選者だけに特典
向く目的 再来店の着実な後押し 来店の動機づくり、話題づくり
向く相手 来てほしい既存客、しばらく入庫のない顧客 関心を広げたい層、イベントの告知
顧客の体験 自分はこれが使える、と分かりやすい 当たるかも、で開く動機が生まれる

通常クーポンは、点検料金の割引や工賃の割引のように、渡したらそのまま使える特典です。車検満了が近い顧客や、しばらく入庫のない顧客に「あなた宛ての割引」として送ると、来店の最後の後押しになります。

抽選クーポンは、当たり外れという体験そのものが目的になります。決算期の案内や新型車の試乗会の告知に添えると、全員が得をするわけではありませんが、開いて参加する動機が生まれます。来店のハードルを下げるきっかけとして使えます。

抽選は広く浅く関心を引くのは得意でも、着実な再来店には向きません。既存客の入庫を逃したくないなら、まず通常クーポンを丁寧に組む方が効きやすいです。抽選は年に数回の催しで使うくらいが、ちょうどよい使い方です。なお、抽選で当たる特典が割引であっても、景品の扱いになります。次の節で説明します。

景品表示法と業界の規約で先に確かめること

クーポンを企画する前に、景品表示法の線引きを確かめておきます。ここを飛ばすと、善意の販促が法令違反になりかねません。

対象者全員に、点検料金から 1,000 円を引く、工賃を 10% 引く、といった値引きクーポンは、取引の対価を減らす値引きです。正常な商慣習の範囲の値引きは景品類に当たらず、景品の上限の規制は受けません。

抽選で当たる割引は扱いが変わります。当たった人だけが得をする割引は、懸賞による景品類として扱われ、一般懸賞の上限の範囲で行います。Ribbon の抽選クーポンで割引を当たりにするときも同じです。

代金の一部を現金で返すキャッシュバックも、原則は値引きです。ただし例外が 3 つあります。抽選で当たった人にだけ返す懸賞の形。返したお金の使い道を限る形(用品の購入にだけ使える、など)。同じ企画で景品と選ばせる形(キャッシュバックか記念品かを選べる、など)。この 3 つは景品類として扱われます。

物品や商品券、抽選で当たる割引は、提供の仕方で 2 つに分かれます。

来店を条件にするだけでも、取引に付随する提供として扱われます。購入を伴わない来店だけの企画は、取引価額の算定が低くなるため、上限も小さくなります。

例えば、車検で入庫した顧客を対象に、抽選で 1 万円相当の用品を渡す企画を考えてみます。保有 3,000 台で車検が 2 年に 1 度なら、車検は年 1,500 台、月にならすと約 125 台です。車検 1 台の整備売上を、自賠責保険料、重量税、印紙代の法定費用を除いて 6 万円と置くと、1 か月の企画の売上予定総額は約 750 万円です。その 2% は約 15 万円なので、1 万円相当の当選は 15 本までになります。最高額は、車検の取引価額が 5,000 円以上なので 10 万円に収まります。点検の入庫者全員に用品を渡すなら総付景品で、点検料金が 1 万円なら 2,000 円相当までです。

ここでの数字は計算の例で、専門家や協議会の確認を前提にした目安です。実際の扱いは企画の条件によって変わります。消費者庁の告示と運用基準(景品類等の指定の告示の運用基準、懸賞による景品類の提供に関する事項の制限とその運用基準)にも目を通しておくと安心です。

自動車業には、自動車公正取引協議会が運用する景品の公正競争規約(自動車業における景品類の提供の制限に関する公正競争規約)があります。協議会の会員のディーラーは、景品表示法の告示に加えて、この規約にも従います。判断に迷う企画は、固める前に協議会へ相談できます。

有効期限と割引内容の設計

Ribbon のクーポンは、クーポン名、割引内容、説明、利用ガイド、画像、有効期限の開始と終了を設定して作ります。1 人 1 回に限る設定もできます。それぞれの設定値は別の役割を持つので、意図を持って決めると効きが変わります。

有効期限は「今動く理由」を作る仕組みです。期限のないクーポンは「いつでも使える」で、「いつでも使える」は「今は使わない」になりがちです。点検のような軽い用事なら数週間で区切り、決算期の施策ならその期間の末日に合わせて締めます。短すぎると気づく前に切れ、長すぎると緊張感が消えます。

割引内容は、動機として十分かと、粗利が耐えるかの綱引きになります。整備の値引きは利益を直接削ります。割引を大きくする前に、来店してもらえれば他の提案につながるか(点検で来店し、ついでに消耗品やコーティングの相談になるか)を考えておくと判断しやすくなります。値引きの妥当性は、整備売上を取りこぼさない|工賃・部品・粗利を1記録で管理するの考え方とセットで判断します。

用品のプレゼントなど在庫に限りがある特典は、配布数と在庫を忘れずに突き合わせます。抽選クーポンで割引を当たりにするなら、当選本数と割引額をかけた合計が総額の上限に収まるかも、ここで照らしておきます。

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誰に、いつ送るか

クーポンは全員一律の配信ではなく、タグや条件で対象を絞って送ります。ここを外すと、中身がよくてもブロックされやすくなります。車を手放した人や、他社で車検を受けたと分かっている人に整備のクーポンを送り続ければ、自分には関係ない通知が積み重なって、ブロックの後押しになってしまいます。

逆に、車検満了が近い顧客に車検のクーポン、しばらく入庫のない顧客に点検のクーポン、と相手の状況に合った特典を送れば、同じクーポンでも反応は変わります。全員に同じ内容から、相手に合わせた 1 通へ切り替える考え方は、One to Oneメール配信とはが配信全体の土台になります。

Ribbon の絞り込み配信では、顧客ランク、紐付け状態、都道府県、担当営業、車種名、車検満了月、タグで対象を絞り、対象件数を確認してからクーポンを添付して送ります。「全員に送る」を 1 度やめて、「この特典が刺さる人は誰か」から逆算すると、送る相手が自然に絞れます。

送るタイミングは、顧客の生活に車の用事が近づいている節目に合わせます。

クーポンは単発の割引ではなく、販促カレンダーの一部として置くと効きが安定します。

なお、車検満了前の定期的な案内そのものは、クーポンとは別に LINE 車検リマインダーで仕組み化できます。保有車両の車検満了日をきっかけに自動で送り、初期値は満了 30 日前で、60 日から 90 日前に変えて使えます。リマインダーで気づかせ、クーポンで背中を押す、という組み合わせが組めます。

LINE の友だちでない顧客にメールで同じ案内を送るなら、特定電子メール法に沿って、事前の同意、送信者の表示、配信停止の方法の明示が要ります。

LINE上の操作と店頭の来店は別に数える

ここは少し細かい話になりますが、効果を見るうえで大切なところです。Ribbon のクーポンは、顧客の LINE にカードとして届き、顧客がクーポンを使うボタンを押すと利用が記録され、クーポンコードが返信されます。顧客はその画面を店頭でスタッフに提示します。クーポン一覧には、クーポンごとに発行、当選、利用の件数が並びます。

難しいのはその先です。LINE 上でボタンが押されたことと、実際に来店して店頭で使われたことは、別の出来事です。押しただけで来ない人もいれば、来店したのに押し忘れる人もいます。数字は出ているのに来店が増えた手応えがない、というつまずきは、この 2 つを同じものだと思っているときに起きます。

ですから、来店まで含めて効果を見たいなら、クーポン一覧の件数の上に、店頭の来店記録をもう 1 段重ねます。

LINEクーポンの一覧画面。クーポンごとに種別、割引、状態、発行、当選、利用の件数が並ぶRibbonの画面
クーポン一覧。クーポンごとに通常か抽選かの種別、割引、公開状態、発行、当選、利用の件数が並び、編集、集計、会話に送る、の操作ができます

LINE 上の件数は反応の有無を、店頭の記録は来店という結果を表します。両方が揃うと、次にどのクーポンを誰に送るかの判断材料が貯まります。来店の有無を自動で判定する仕組みではない、という前提を運用に織り込んでおきます。誰が読んだかは LINE の仕様上取れないため、Ribbon では本文のリンクのクリックを顧客ごとに測ります。開封やブロック数の扱いはLINE絞り込み配信の効果測定|配信ごとのクリックで比べるで整理しています。

よくある失敗パターン

クーポンが空回りしやすい例を挙げます。

クーポンは便利ですが、それだけでは来店の理由以上にはなりません。来てくれた顧客にどう向き合うか。来店体験そのものの設計があって初めて、クーポンは投資として回収できます。

Ribbonが備えるLINEクーポン機能

LINE 公式アカウント連携は有料オプションで、Messaging API が使える LINE 公式アカウントを自社で契約していることが前提になります。配信の通数と料金は LINE 側の規定に従います。

LINE 公式アカウントの開設と初期設定は LINE 側の管理画面で行います。料金の目安は料金ページで確認できます。

よくある質問(FAQ)

割引の金額を大きく見せる表示で気を付けることはありますか?

割引前の価格を実際より高く書いて割引を大きく見せると、景品表示法の有利誤認表示にあたるおそれがあります。割引前の価格には、店で普段使っている工賃や料金を書きます。条件や期限もクーポンの説明欄にはっきり書いておきます。

自動車公正取引協議会の会員でなければ、景品の決まりは関係ありませんか?

公正競争規約に従うのは協議会の会員の事業者ですが、景品表示法と消費者庁の告示の上限は、会員かどうかに関係なくかかります。会員のディーラーは、その両方に従います。

1人の顧客に何度も使われるのを防げますか?

Ribbon のクーポンは 1 人 1 回に限る設定ができます。店頭では、利用の記録を活動履歴に残しておくと、同じ顧客の 2 度目の利用にも気づけます。

LINEの友だちでない顧客にも同じ特典を届けられますか?

Ribbon の EDM 配信(有料オプション)で、メールで同じ案内を送れます。その際は特定電子メール法に沿って、事前の同意、送信者の表示、配信停止の方法の明示が要ります。

Ribbonでクーポンを配るのに必要な契約は何ですか?

LINE 公式アカウント連携は有料オプションで、Messaging API が使える LINE 公式アカウントを自社で契約していることが前提になります。配信の通数と料金は LINE 側の規定に従います。

まとめ

手始めに、3 か月後に車検満了を迎える顧客に向けて通常クーポンを 1 枚作り、受付で利用を活動履歴に残す決まりを添えて送ってみます。送る相手は車検満了月で絞り、期限は 1 か月ほどで区切ります。1 か月後、クーポン一覧の利用件数と活動履歴の来店記録を並べると、次に何を誰に送るかが見えてきます。

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