
この記事の要点
- 車検入庫率は、自社入庫台数を、満了到来台数から未保有と対象外を除いた台数で割った数字です。月末の結果ではなく毎週の進捗として追います
- 取りこぼしは案内の後に起きます。案内したが反応のない顧客を期日付きで見える状態にすることが対策の中心です
- 案内は満了 3 か月前をきっかけに、初回案内、日程打診、未反応者の回収の 3 段階で組みます
- 呼び込みリストは未対応・接触・検討・予定・未保有・対象外の 6 つの状態で追い、状態の偏りから原因を読みます
- 週次の会議では数字を眺めるだけでなく、未反応者の誰を誰がいつまでに追うかを決めて終えます
この記事で分かること
- 車検入庫率の定義と、月末ではなく毎週見る理由
- 呼び込みリストを 6 つの状態に分けて、漏れの場所を見つける方法
- 満了日から逆算した案内タイミングの組み方と、接触手段の使い分け
- 入庫率を週次で回す会議の進め方と、見る数字
対象読者:自動車ディーラーのサービスマネージャー、サービスフロント、経営層|読了目安:約10分
目次
車検入庫率が月末まで分からない理由
今月の車検満了が何台あるかは、どのサービス現場でも分かっています。分かりにくいのは、そのうち何台を自社で受けられそうか、という途中経過です。月初に満了リストが配られ、担当者が手分けして電話をかけ、案内を送ります。けれど、誰が何件に連絡し、反応がなかった顧客をその後どうしたかは、各自の手元にしか残らないことが少なくありません。
この仕組みのままでは、入庫率は月末に売上を締めて初めて分かります。分かった時には、その月に逃した台数はもう取り返せません。やることはやっている、案内の手段も増やした、それでも数字が去年と変わらない、という店は、この途中経過が見えないところでつまずいていることが多いです。
営業が車検の呼び込みをする現場でも、同じことが起きます。呼び込みのリストは別のシステムにあり、前回どんな話をしたかは自分の記録を調べ、電話をかけ、進捗はまた別の場所で管理します。記録に残るのは「連絡した」という事実までで、「連絡したが反応がなく、その後どうなったか」は残りません。取りこぼしは、この空白で起きています。
この記事では、車検入庫率を月末の結果ではなく、満了日から逆算して毎週動かせる数字として扱う方法を整理します。リストの分け方、案内のタイミング、週次の追い方を、現場の段取りに落として説明します。
車検入庫率の定義と、毎週見る理由
車検入庫率とは、車検満了を迎える自社の保有顧客のうち、自社で車検を受けた顧客の割合です。分母は満了到来台数から、すでに車を手放していた未保有と、今回の呼び込みから外した対象外を除いた台数です。式は次のとおりです。
車検入庫率 = 自社入庫台数 ÷(満了到来台数 − 未保有 − 対象外)
例えば当月の満了が 60 台で、未保有と対象外が 10 台なら、分母は 50 台です。自社で 40 台を受けられれば、入庫率は 80% になります。残りの 10 台は、他社で車検を受けたか、まだ入庫先が決まっていないかのどちらかです。
分母を絞っておくと、手を打てる相手のうちどれだけ取れたかが、そのまま数字に出ます。この数字の意味を考えるには、車検という接点の性質を見ておくと分かりやすくなります。
車検は、顧客と接点を持てる数少ない機会です。そこで整備、部品、代車といったアフターの収益が生まれ、次の買い替え相談のきっかけにもなります。一方で、満了日を過ぎれば公道を走れないため、顧客はどこかで車検を受けることになります。それが自社とは限らない、というところに難しさがあります。
だからこそ、この数字を月末の答え合わせにしておくのはもったいないです。車検には満了日という明確な締切があり、満了に向けて入庫先は決まっていきます。満了の 3 か月前から週単位で「今、どこまで取れているか」を追えば、間に合ううちに手を打てます。先行指標で店を回す考え方は車検に限りません。
取りこぼしは案内の後に起きる
入庫率が伸びない原因は、案内の量ではないことが多いです。案内はしたが反応がなく、そのまま追わなかった層が放置されることが原因になりがちです。
初回の案内で、その場で予約まで進む顧客は限られます。多くは「まだ先だから」「あとで考える」と保留します。ここまでは普通のことです。難しいのはその後です。
- 初回の電話がつながらなかった顧客(不在、留守番電話)
- 案内は届いたが反応がない顧客
- 検討すると言ったまま連絡が途絶えた顧客
この層に 2 回目、3 回目の連絡ができるかどうかで、最終的な入庫率は変わります。ところが実際には、初回の案内を終えた時点で担当者は区切りがついたと感じ、未反応者は記憶からこぼれていきます。他社の早期予約の案内に先を越されるのも、この空白の期間になりがちです。
新しい手段を足す前に、まず未反応者が 1 人残らず期日付きで見える状態を作ると、後が楽になります。順番が逆になると、施策だけ増えて数字が動かない、ということも起きます。2 回目以降の連絡を担当者の記憶に頼らない発想は、フォローアップタスクを自動化|ディーラーの追客漏れをなくすと同じ土台に立っています。
呼び込みリストを6つの状態で追う
抜けを減らす第 1 歩は、呼び込みリストを「やった、やっていない」の 2 値ではなく、進捗の状態で分けることです。Ribbon の車検点検呼び込みは、対象 1 件ごとに次の 6 つの状態を持ちます。
| 状態 | 運用上の意味 | 次にやること |
|---|---|---|
| 未対応 | まだ案内に着手していない | 期日を切って初回の案内を打つ |
| 接触 | 電話やメールで案内が届いた | 反応の有無で追客を分ける |
| 検討 | 顧客が検討中で、まだ日程が決まっていない | 検討時期を記録し、再連絡の期日を置く |
| 予定 | 入庫の日程が決まった | 入庫予定日を記録し、当日の準備へつなぐ |
| 未保有 | その車をすでに手放していた | 買い替えの商談へ引き継ぐ |
| 対象外 | 今回の呼び込みから外す | 理由を残し、次回の呼び込みに活かす |
6 つに分けるだけで、どこで詰まっているかが見えてきます。未対応が多ければ、着手そのものが遅れています。接触や検討の件数が積み上がり続けているなら、案内の後の追客が止まっています。漏れが最も多いのは、この接触と検討のところです。
状態を増やすこと自体に意味はありません。大事なのは、接触や検討の袋に入った顧客が放置されないように、状態ごとに期日と次の動きを結びつけることです。Ribbon の一覧には、入庫予定日のほかに折り返し予定と検討時期の欄があり、未決着の案件だけを絞って表示できます。満了日の横には残り日数と超過日数が出るので、どの案件から手を付けるかを迷わずに済みます。

案内のタイミングと接触手段を満了日から逆算する
案内は思い出したときに打つのではなく、満了日からの逆算で段階を切ると追いやすくなります。標準的な組み方は 3 段階です。
3か月前:初回の案内(広く、手間をかけずに)
満了 3 か月前をきっかけに、メールや LINE で広く案内します。この段階の目的は予約の獲得そのものより、そろそろ車検だという認知と、早めに予約する利点の告知にあります。手間の軽い手段で網を広げます。
2か月前:日程の打診(個別に、電話で)
初回で反応がなかった顧客に、電話で個別に打診します。「ご都合のよい週はありますか」と日程に踏み込むのがこの段階です。ここを担当者任せにせず、未反応者の一覧を期日付きで配っておくと、漏れが減りやすくなります。
2025 年 4 月からは、満了日の 2 か月前から車検を受けても、有効期間が短くならなくなりました。この段階で早めの入庫を案内しても、顧客の損になりません。
1か月前:未反応者の回収
満了 1 か月前でまだ動いていない顧客は、離脱の可能性が最も高い層です。最後の電話、あるいは来店時の声かけで回収します。ここで他社に予約済みと分かれば、理由を記録して次回の車検での奪還につなげます。
3 段階に分ける狙いは、接触手段を段階的に濃くしていくことにあります。最初から全員に電話をかける人手はなく、最後までメールだけでは届きません。広く始めて、未反応者にだけ手厚くする組み方が、人手と費用の両方に効きます。
電話で打診するときは、満了が近いという事実と、早く決める利点を組み合わせます。代車を確保しやすい、希望の曜日を押さえられる、といった段取りの安心感で予約を引き寄せる方が、値引きを前面に出すより価格競争に巻き込まれにくくなります。電話がつながらない顧客には、LINE で短く添えたうえで再連絡の期日を置き、つながらなかったで終わらせないようにします。
なお、源泉(自社販売、他社販売、サービス入庫など、顧客になった経緯の区分)とブランドの組み合わせで、呼び込みを自動で作る対象を絞ることもできます。自店で整備を受けられないブランドの車などを、最初から外すための設定です。外した車は入庫率の分母から消えるので、外す基準は対象外と同じく店で 1 つに決め、外した台数も月ごとに控えておきます。設定の考え方は車検呼び込み自動作成ルールの設計|源泉×ブランドで対象を絞るで詳しく扱っています。
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週次で見る数字と会議の回し方
入庫率を先行指標として回すには、週次で見る数字の組み合わせを決めておきます。月次の入庫率 1 本だけでは、月末まで打ち手が見えません。
| 指標 | 何を見るか | 異常のサイン |
|---|---|---|
| 満了到来台数(当月、翌月) | 母数。今月と来月に何台来るか | 翌月の台数が多いのに着手していない |
| 着手率 | 対象のうち初回の案内に着手した割合 | 月の前半で着手率が低い |
| 接触と検討の滞留件数 | 案内の後、日程が決まらずに止まっている件数 | この数が積み上がり続ける |
| 予定件数と入庫済み件数 | 日程が確定した件数と、実際に入庫した件数 | 満了が近いのに予定が増えない |
| 暫定入庫率 | 入庫済み ÷(満了到来 − 未保有 − 対象外)を週次で | 前年の同じ週を下回り続ける |
目標水準は自店の実績で調整する目安として置き、他店の数字をそのまま当てはめないようにします。この週次の組み合わせを、サービスの朝礼や週次の会議の定点にします。ただし見るだけでは変わりません。毎回「未反応者の誰を、誰が、いつまでに追うか」を 1 人 1 件決めるところまでやって、初めて意味を持ちます。
予約が入った後の動きも大切です。予定からの当日キャンセルや無断キャンセルは、せっかく取った入庫を逃す最後の落とし穴です。前日の確認と、入庫日の代車の準備までを呼び込みの流れとして組んでおきます。Ribbon では入庫日を確定すると、入庫日と出庫日、申し送り事項が記録され、サービス側の入庫予定表と来店予定のカレンダーに連携します。案内から入庫当日までを、同じ画面で途切れさせずに追えます。
よくある失敗パターン
失敗1:案内したところで記録が止まる
初回の案内を打った時点で対応済み扱いにすると、未反応者が見えなくなります。案内後の反応、次の動き、期日まで記録して初めて追客が回ります。
失敗2:対象外にする基準が担当者ごとに違う
他社で予約済み、連絡がつかない、といった理由で担当者が個別に対象外にしていくと、分母が減って入庫率だけが良く見えます。対象外にしてよい理由を店で決め、理由を記録に残してから外します。
失敗3:担当者個人の手帳に依存する
誰がどこまで追ったかが個人の手元にあると、引き継ぎも店全体の進捗把握もできません。店で共有できる状態にして初めて、マネジメントが手を貸せるようになります。
Ribbonが備える車検呼び込み機能
Ribbon は、車検の呼び込みから入庫までを続きの流れで管理する機能を備えています。
- 車検点検呼び込み(有料オプション) — 保有車両の車検満了日から対象を月ごとに持ち、未対応・接触・検討・予定・未保有・対象外の状態で管理します。入庫予定日、折り返し予定、検討時期を記録でき、未決着の案件だけを絞って表示できます。自店舗、自分の担当、他店舗の切り替えと CSV 出力に対応します
- 呼び込みの自動作成ルール — 顧客の源泉とブランドの組み合わせで、呼び込みを自動作成する対象を定義します。対象は保有車両の車検満了日から月ごとに作られます
- 活動履歴への記録 — 呼び込みの画面から、電話した、コールのみだった、といった結果とメモを残すと、活動履歴に記録されます。過去の履歴を見ながら電話をかけられます
- 入庫日の確定 — 入庫日、出庫日、申し送り事項を入力すると、サービス側の入庫予定表と来店予定のカレンダーに連携します
- 統合ダッシュボード(BI、有料オプション) — 車検点検呼び込みタブで、期間、店舗、担当者で絞り込み、担当者別の進捗と状態別の内訳を確認できます
- アタックリスト(有料オプション) — 車検満了が近い顧客などを条件で抽出し、追客の一覧として担当者に割り当てて進捗を記録します
- 自動タスク生成ルール — 条件を設定しておくと、日次で評価して担当者にタスクを起こすルールを持ちます。車検の呼び込みにどう使うかは導入時に組み立てます
- LINE 車検リマインダー(LINE 連携は有料オプション) — 保有車両の車検満了日をきっかけに、LINE 公式アカウントから案内を送ります。初期値は満了 30 日前で、60 日から 90 日前に変えて使えます
- EDM 配信(有料オプション) — 早期予約の案内メールを作成して送り、開封とクリックを測ります。開封した顧客をアタックリストにして、電話での打診につなげられます
料金の目安は料金ページで確認できます。
よくある質問(FAQ)
他社で予約済みと分かった顧客は対象外にしてよいですか?
車検入庫率の目標はどのくらいに置けばいいですか?
新車から最初の車検は、2 回目以降と案内を変えた方がいいですか?
呼び込みは営業とサービスのどちらが担当するのがよいですか?
まとめ
車検には満了日という締切があり、入庫率は間に合ううちに動かせる数字です。まずは今月と来月の呼び込みリストを開き、接触と検討のまま次の期日が入っていない顧客を数えてみてください。その数が、いま逃しかけている台数です。1 件ずつ担当と期日を決めるところから、毎週の打ち手が始まります。
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- 整備の稼働率を上げる4つのレバー|既存客で空きピットを埋める — 保有車両データを起点に次の入庫機会を作る視点
- ディーラーCRMの選び方|失敗しない7つの判断基準 — 呼び込みの進捗と顧客の記録を同じ画面で追えるかという、CRM を選ぶときの見方
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