
この記事の要点
- ディーラー業務管理システムは、顧客、商談、車両、在庫、整備、車検、納車を同じ顧客と同じ 1 台の上でつなぐ仕組みです
- 道具が業務ごとに分かれると、同じ顧客が二重に登録され、販売とアフターの接点が途切れます
- DMS は販売、整備、部品、会計を束ねるディーラー管理システムの総称で、輸入車ではメーカー指定の DMS が販売も整備も扱うのが普通です
- 汎用の顧客管理との違いは、車検満了日、整備履歴、1 台ごとの在庫、下取りといった自動車固有の業務を持つかどうかです
- 導入は全部をまとめてではなく、分断がいちばん痛い業務から順に広げます
この記事で分かること
- ディーラーで顧客と車両の情報が割れていく理由
- 業務管理システムでつなぐ範囲と、既存の DMS との分担
- 汎用の顧客管理との違いと、選ぶときの 4 つの判断軸
- 現場を止めずに広げる導入の順番
対象読者:自動車ディーラー、中古車販売店の経営者、幹部、DX 担当|読了目安:約8分
目次
同じ顧客が何人にも割れていく
ディーラーの業務は、販売とアフターサービスを両輪に、在庫、車検、納車が絡み合っています。業務ごとに道具を入れてきた結果、情報の置き場所が分かれている店があります。販売は顧客台帳、中古車は在庫のソフト、車検の案内はハガキのソフト、商談のメモは担当者の手帳やエクセル、という具合です。
道具が分かれると、次のことが起きます。
- 同じ顧客が二重に登録されます。新車を買った顧客が、車検の案内の側では別の人として登録されている、ということが起きます
- 1 台の情報が販売とアフターで途切れます。販売の側からは整備の履歴や車検満了が見えず、アフターの側からは商談や下取りの経緯が見えません
- 数字の突き合わせが手作業になります。販売、整備、在庫の数字が別々の場所にあると、全体を見るたびに集計が要ります
- 入庫の機会を逃します。満了が近い顧客への案内が、台帳の分断のせいで仕組みにならず、担当者の記憶に頼ることになります
どの道具も、それぞれの目的には合っています。問題は道具の良し悪しではなく、つなぎ目が手作業になっていることです。ディーラーの強みは、1 度売った顧客と、点検や車検で何年もつながり続けられることにあります。業務が分かれたままだと、その強みが数字に表れません。
この記事では、販売とアフターを同じ顧客と同じ 1 台の上でつなぐ業務管理システムの全体像を整理します。
業務管理システムでつなぐ範囲
ディーラー業務管理システムの役割は、分かれていた業務を、同じ顧客と同じ 1 台を軸に 1 つの基盤でつなぐことです。業務の流れで並べると、次のようになります。
- 顧客 — 連絡先、保有車両、商談、整備、来店、メール、LINE を 1 人の顧客に集めます。販売もアフターも同じ顧客を見ます
- 商談と販売 — 見積、商談の進み具合、下取り、注文、納車を管理します。成約が顧客と在庫の 1 台に結びつきます
- 在庫と車両 — 新車も中古車も 1 台ごとに状態と滞留を管理し、成約と納車につなげます
- 整備とサービス — 入庫の受付から作業、ピットの予定、代車、売掛、整備履歴までを管理し、顧客カードに残します
- 車検 — 保有車両の車検満了日から呼び込みの対象を抽出し、入庫の予定と顧客管理に合流させます
概念図の右側を実際の画面で見ると、次のようになります。



各業務は別々の画面ですが、裏では同じ顧客と同じ 1 台を共有しています。販売で成約した車が、そのまま整備と車検の対象になるので、Ribbon の中では二重の登録や突き合わせが要りません。メーカー指定の DMS と併用する場合は、DMS の顧客と車両の一覧を CSV で取り込んで揃えます。どの項目をどちらで更新するかを、導入の前に決めておきます。
DMSとの関係と役割の分け方
業務管理システムを考えるとき、DMS との関係は最初に整理しておきます。DMS は、販売、整備、部品、会計を束ねるディーラー管理システムの総称です。輸入車のディーラーでは、メーカー(インポーター)が指定する DMS が、販売も整備も扱うのが普通です。この記事でいう業務管理システムは、DMS の伝票処理とは別に、顧客と 1 台の車を軸に、商談、来店、連絡、車検の呼び込みといった日々の業務をつなぐ仕組みを指します。
DMS は伝票を正しく処理するための道具です。法定の点検整備記録簿、保証の請求、リコールの管理といった、メーカーの仕組みとつながる業務はここで行います。一方で、商談の途中の経緯、点検の待ち時間に出た会話、メールや LINE のやり取りは、DMS の伝票には残りにくい情報です。
そこで、役割を分ける考え方があります。法定の点検整備記録簿、保証の請求、リコールの管理は既存の DMS 側で行い、Ribbon は顧客と履歴の側を受け持ちます。DMS を置き換えるのではなく、DMS に残らない情報を顧客カードに集めます。
メーカー指定の DMS を持たない販売店では、事情が違います。部品番号から明細を作る、お客様への請求書を出す、入庫受付票を出す、といった日々の整備業務を Ribbon で扱えます。どちらの場合も、何を既存の仕組みに残し、何を新しい基盤に載せるかを、導入の前に決めておくと混乱しません。
汎用の顧客管理との違い
顧客管理なら汎用のツールでもできるのでは、という疑問はもっともです。違いは、自動車固有の業務を持っているかどうかにあります。汎用の顧客管理は商談と顧客までは扱えても、車検満了日からの呼び込み、整備とピットと代車、1 台ごとの中古車在庫、下取りと諸費用を含む見積と注文書を、標準では持たないことが多いものです。項目ごとの比べ方はディーラーCRMの選び方|失敗しない7つの判断基準の比較表にまとめています。
汎用のツールでこれらを補おうとすると、エクセルや別のソフトを足すことになり、分断が戻ってきます。立ち上げの時期や小さな規模なら、汎用のツールでも回ります。販売とアフターの両方を 1 つで回したくなった段階で、自動車固有の業務を持つ仕組みが候補に入ります。
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選ぶときの4つの判断軸
ディーラー業務管理システムを選ぶときは、次の 4 つの軸で見ると比べやすくなります。
- 自動車固有の業務を持っているか。車検、整備、1 台ごとの在庫、下取りを標準で扱えるかを見ます。自由項目で代用すると、手作業が残ります
- 販売とアフターを同じ顧客でつなげるか。売るまでの記録と、点検や車検で続く記録が、同じ顧客と同じ 1 台の上にあるかを見ます
- 後から広げても同じ基盤のままか。最初は顧客と商談だけでも、在庫や整備を足したときに別の台帳ができないかを確かめます
- 現場が使い続けられるか。機能が多くても、入力が続かなければデータは古くなります。日々の業務を入力すれば報告まで終わる作りかどうかを見ます
4 つ目は見落とされがちですが、定着を左右します。判断基準の詳細はディーラーCRMの選び方|失敗しない7つの判断基準で整理しています。
段階的な導入の進め方
全部をまとめて入れ替えようとすると、現場の手が止まります。分断がいちばん痛い業務から順に広げる方が、定着しやすくなります。
- 始める業務を決めます。顧客台帳を 1 つにするか、車検の呼び込みと整備履歴をつなぐか、自社でいちばん困っている業務を選びます
- 効果を確かめます。二重の登録や突き合わせの手間がどれだけ減ったかを、現場の声と件数で確かめます
- 隣の業務へ広げます。顧客から商談と在庫へ、整備から車検と納車へと、同じ基盤の上で足していきます
- 全体の数字を見ます。販売、整備、在庫が同じ基盤に乗ると、経営の数字を集計の作業なしで見られるようになります
どこから手をつけるかはディーラーのDXロードマップ|どこから手を付け、何を後回しにするかで整理しています。在庫と整備のそれぞれについては、中古車の在庫・販売管理と整備・サービスの管理システムとは|入庫から作業・売掛・履歴まで一元化で掘り下げています。
Ribbonが備えるディーラー業務管理機能
Ribbon は、顧客、商談、活動履歴、保有車両、納車の管理を基本の範囲とし、業務に応じてオプションを足していく作りです。
- 顧客 360 度ビュー — 連絡先、保有車両、商談、整備、来店、メール、LINE を 1 人の顧客に集めます
- 商談管理 — 商談の進み具合をステップごとに管理し、成約を顧客と車両に結びつけます
- 見積と注文書 — 車両、オプション、下取り、諸費用を含む見積を作り、受け入れられた見積から注文書を作ります。有料オプション(見積管理)
- 在庫車両管理 — 新車、中古車を 1 台ごとに状態と滞留で管理します。有料オプション(車両在庫管理)
- サービス管理 — 入庫の受付、作業明細、ピットの予定、代車の貸出、整備の売掛、整備履歴を管理します。有料オプション(サービス管理)
- 車検点検呼び込み — 保有車両の車検満了日から対象を毎月抽出し、呼び込みの結果と入庫の予定を管理します。有料オプション(車検点検管理)
- 登録と納車の管理 — 登録と納車の行程、書類のそろい具合、入金の状況を管理します
- BI — 販売、整備、在庫の状況をダッシュボードで集計します。有料オプション(BI)
- 権限と操作ログ — 権限をロールと個人の単位で設定し、誰が何を見て、何を更新したかを記録します
料金の目安は料金ページで確認できます。
よくある質問(FAQ)
メーカー指定のDMSがあります。Ribbonに置き換える必要がありますか?
小さな販売店で、基幹のシステムを持っていません。整備まで任せられますか?
社員ごとに、見られる範囲や操作できる範囲を変えられますか?
料金は、使う業務の数で変わりますか?
まとめ
まず、いま使っている道具を紙に並べ、それぞれに顧客が何人登録されているかを書き出してみてください。DMS、中古車の在庫のソフト、車検案内のソフト、営業のエクセルの件数を並べると、同じ顧客が何か所に分かれているかの見当がつきます。そのうえで、どの業務を DMS に残し、どの業務の顧客と履歴を 1 つの基盤に集めるかを決めると、導入の最初の 1 歩が決まります。
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