
この記事の要点
- 営業と整備の分断は人の問題ではなく、業務単位のシステム導入、部門別の評価指標、口頭と紙に頼る連携という成り立ちから生まれます
- 分断を放置すると、買い替えの兆候、車検入庫の機会、顧客体験の3つが部門の壁で止まり、成約率とLTVを削ります
- 統合の条件は、同じ顧客カードに記録されること、権限で見える範囲を決められること、携帯から記録できることの3つです
- 進め方は、顧客マスタの統合、履歴の統合、記録と確認の運用の順に進めると無理がありません
- 効果の試算は前提を明示した目安に留め、自店の実績で置き換えます
この記事で分かること
- 営業・整備・車検の情報が分断される理由
- 分断が成約率とLTVに影響する3つの流れ
- 情報統合に必要な条件と、進め方の3ステップ
- 商談の録音と整備フロントの記録を、同じ顧客カードで扱う方法
対象読者:自動車ディーラーの経営者・店長・サービスマネージャー・DX推進担当|読了目安:約8分
目次
営業と整備が別々に動くと何が起きるか
自動車ディーラーの顧客は、納車の後も点検と車検で店に戻ってきます。営業が接する回数より、整備フロントが接する回数の方が多い顧客も珍しくありません。ところが、整備の作業はDMSの伝票に残っても、整備フロントで交わした会話は残りません。営業の商談の経緯は、担当者の手帳やExcelにあることが多いものです。顧客から見れば1つの会社なのに、店の中では情報が割れています。
例えば、こういう場面を考えてみます。12か月点検で入庫した顧客が、整備フロントに家族が増えたと話します。整備担当は会話を交わしますが、整備伝票に残るのは作業内容だけです。営業はその話を知らないまま、翌月に全員向けの案内状を送ります。
顧客は自分の事情と関係のない案内を受け取り、次の車は別の店で検討を始めます。整備担当は仕事をし、営業も案内を送っているのに、機会は失われます。原因は人ではなく、整備の気づきが営業の見る場所に置かれない仕組みにあります。
車検の呼び込みリストは案内用のソフトにあり、営業の活動履歴は別の表にある、という店も少なくありません。前回の会話を調べてから電話をかけ、進捗はまた別の表で管理することになります。この手間が、営業が整備の情報を見に行かない理由になりがちです。
分断が生まれる3つの理由
理由1 システムが業務単位で導入されてきた
ディーラーのシステムは業務ごとに積み上がってきました。販売と整備の伝票はメーカー指定のDMS、中古車は在庫ツール、車検案内はハガキソフト、営業の商談メモは手帳やExcelという具合です。DMSは伝票を正しく処理するための道具で、点検の待ち時間に出た会話や商談の経緯を残す場所にはなっていません。どれも目的に合った道具ですが、顧客を1人の人物として見る前提はどこにもありません。
理由2 部門ごとに評価指標が分かれている
営業は販売台数、整備は工賃と入庫率で評価されます。整備担当が買い替えの話を営業に渡しても、整備の評価には反映されません。評価に結びつかない情報は、善意で渡されることはあっても、仕組みとして渡され続けることはなかなかありません。
理由3 連携が口頭と紙に頼っている
整備で聞いた話を営業に伝える決まった形式がない店では、連携は雑談と付箋に頼ることになります。ベテランがいる店では回っているように見えますが、その人が休んだ日や辞めた後に止まります。連携そのものが属人化している、ということです。
分断が成約率とLTVを削る3つの経路
経路1 買い替えの兆候を取り逃がす
買い替えの兆候は、整備フロントに先に届きます。家族が増えた、燃費が気になる、走行中の音が気になる、といった会話は点検の待ち時間に出ます。この情報が営業に届かなければ、顧客の購買意欲が高まった時期に最初に接触するのは他社の広告になってしまいます。
経路2 車検と点検の機会を単発で終わらせる
車検、点検、保険の更新は、顧客が車について能動的に考える時期です。整備の記録と営業の提案が同じ顧客カードで結びついていないと、案内は単発のハガキで終わります。入庫率にも、次の車の提案にもつながりません。

経路3 顧客体験が削られる
前回も伝えたのに、と顧客に言わせた時点で、店への信頼は下がります。車は高額で、保有の関係が年単位で続く商材です。同じ会社の中で話が通じている、という体験があるかどうかが、次の車をどこで買うかに影響します。LTVは、この積み重ねの結果として伸びたり縮んだりします。
情報統合に必要な3つの条件
条件1 同じ顧客カードに記録されること
整備担当が記録した内容が、営業が開く同じ顧客カードに、その日のうちに表示されることが条件になります。別のシステムに書いた記録を後から転記したり、まとめて取り込んだりする運用では、転記の漏れや遅れがそのまま情報の抜けになります。これは、自動で営業に通知される仕組みを意味しません。記録が同じ場所に置かれ、営業が開けば見える、という状態が土台です。

条件2 見える範囲を権限で制御できること
統合と全公開は別物です。会社、店舗、役割の単位で、誰が何を閲覧し編集できるかを決められないと、現場は怖くて情報を入力できません。複数の店舗や複数のブランドを持つ法人では、この権限の決め方が統合の前提になります。
条件3 携帯から記録できること
整備フロントも営業も、机の前に座っている時間は短いものです。携帯から短い記録を残せる導線がないと、情報は紙のメモに戻ります。記録の粒度は、目的・手段・結果の3項目で1行あれば足ります。それ以上を求めると続きません。
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効果の目安を1つの前提で置いてみる
統合の効果を金額で語る資料はよく見かけますが、前提を示さない数字は判断材料になりにくいものです。ここでは前提を置いて、目安を計算してみます。
保有台数を3,000台、車検は2年に1度なので対象は年1,500台と置きます。車検1台あたりの整備売上は、自賠責保険料、自動車重量税、印紙代の法定費用を除いて6万円と置きます。整備の記録と営業の提案が結びつき、入庫率が2ポイント上がったとすると、増える入庫は年30台、整備売上は年180万円の目安です。
この数字は売上で、粗利ではありません。粗利で見るなら、自店の整備の粗利率を掛けて計算し直します。保有台数や現在の入庫率も店ごとに違うので、自店の数字に置き換えると判断しやすくなります。買い替え提案の増加や顧客体験の改善は、この計算に含めていません。
統合の進め方3ステップ
ステップ1 顧客マスタを1つにする
最初に手をつけるのは顧客マスタの統合です。DMS、中古車の在庫ツール、車検案内のソフト、営業のExcelに、同じ顧客が別々に登録されていることは珍しくありません。突合のキーを顧客番号、電話番号、氏名のどれにするかを決め、重複候補を人が確認してから統合します。この土台がないまま履歴を載せても、顧客が2人に割れたままになります。
ステップ2 履歴を同じカードに載せる
次に、商談、整備、車検、来店の履歴を同じ顧客カードで時系列に見える状態にします。最初は閲覧だけで十分です。整備の記録を営業が見られるようになるだけで、呼び込みの電話の前に前回の作業内容を確認できます。入力の統合は、閲覧が定着してから進めると無理がありません。

ステップ3 記録と確認の運用を決める
最後に、誰が、いつ、どこに記録するかを決めます。整備フロントは入庫時に聞いた話を活動履歴に1行残します。営業は呼び込みの前に、顧客カードの活動タブとサービスのタブを開きます。店長は週に1度、整備発の記録に営業の対応がついているかを確認します。
双方向の連動とは、この運用が回っている状態のことです。システムが自動で営業に知らせる仕組みを期待すると、運用が抜けたまま止まりがちです。記録する人、見る人、確認する人を決めておくと、情報が部門を越えて流れるようになります。
Ribbonが備える情報統合機能
Ribbonは、営業、商談、整備、車検、アフターの情報を顧客単位で1枚のカードに束ねる考え方で作られています。部門の分断に関わる機能を挙げます。
- 顧客360度ビュー — 概要・活動・保有車両・来店・商談・サービスなどのタブで、顧客の接点を1枚のカードに集めます
- 活動履歴 — 接触の目的、手段、結果を担当者と日時つきで記録します。整備フロントが残した記録も、営業が同じカードで見られます
- 保有車両台帳 — 車両ごとに車検満了日や走行距離を持ち、顧客カードから参照できます
- サービス管理 — 整備の記録を入庫理由、作業内容、進捗、金額とともに顧客と車両に結びつけます(有料オプション)
- 車検点検呼び込み — 車検満了日と次回点検日から対象月ごとの一覧を作り、呼び込み結果と入庫予定日を記録します。源泉(自社販売、他社販売、サービス入庫など、顧客になった経緯の区分)とブランドの組み合わせで対象を自動作成するルールも持ちます(有料オプション)
- 商談の録音・文字起こし・AI要約 — 録音中にリアルタイムで文字起こしが進み、録音停止後にAI要約が生成されます。要約は顧客カードの録音タブと活動履歴から参照でき、整備側からも見られます。録音の開始と商談への紐付けは人が行います(有料オプション)
- 自動タスクのルール — 成約などの出来事、日次の条件判定、滞留の検知をきっかけにタスクを作り、顧客の担当者や店舗に割り当てます
- 重複検出とマージ — 重複候補を検出し、担当者が確認したうえで顧客を統合します。CSVの取り込みにも対応しています
- 権限制御と操作ログ — 会社、店舗、役割の単位で閲覧と編集の範囲を設定し、操作の記録を残します
- モバイル対応 — iPhoneとiPadはアプリ、そのほかの端末はブラウザで使えます。整備フロントや外出先で記録できます
料金の目安は料金ページで確認できます。
よくある質問(FAQ)
整備担当が営業に渡した情報を、評価にどう結びつければよいですか?
統合すると現場の入力負荷は増えませんか?
小規模なディーラーでも意味がありますか?
部門をまたいで情報を使うとき、個人情報の扱いはどうすればよいですか?
まとめ
まず、DMS、中古車の在庫ツール、車検案内のソフト、営業のExcelから顧客の一覧を出し、同じ顧客が何か所に登録されているかを数えてみてください。重複の数が分かれば、顧客マスタを1つにする作業の大きさが見えます。そのうえで、整備フロントが入庫時に聞いた話を1行残す場所を決めると、統合の最初の手順が整います。
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